Photoshopのおすすめ環境設定とは
現役レタッチャーの筆者がPhotoshopの環境設定でポイントになるところを紹介します。
実はPhotoshopはPCのスペックは当然のことながら、「環境設定」でもパフォーマンスがかなり変わってきます。
この記事ではPhotoshopの環境設定の中で作業効率に効果のあるものを重点的に解説していきますので、要点をチェックしてください。
バージョンはPhotoshop2022の項目で説明しますが、Photoshop2022以外のバージョンでも主要なところは同じ設定で大丈夫です。古いバージョンにない項目は飛ばして読んでください。
Photoshopの環境設定はどこにある?
Photoshopの環境設定は以下の場所にあります。
Windows版 Photoshopの環境設定:「編集」メニュー→「環境設定」
Mac版 Photoshopの環境設定:「Photoshop」メニュー→「環境設定」
キーボードショートカットでやる場合はCtrl(Command)を押しながらKキーです。
環境設定のウィンドウが開いたら、次は左側に表示される主な項目ごとに説明していきます。
Photoshopの環境設定の項目ごとの解説
一般
クリップボードへ転送
「クリップボードへ転送」ですが、サイズの大きいファイルを扱うときはOFFにした方がいいです。
大きいサイズの画像をコピーしているとアプリケーションを切り替えるごとにディスク読み書きが発生するので、その分時間がかかってしまいます。
逆に頻繁に他のアプリケーションへのペーストを使用する場合はONのままの方がいいです。
従来の変形を使用
古くからのユーザーの場合、Photoshop2019(バージョン20.0)のアップデートで自由変形の操作が変わってしまったので慣れないという方も多いと思います。従来操作の自由変形に戻したい場合は「従来の自由変形を使用」をチェックします。
ツール
フリックパンを有効にする
ツールの「フリックパンを有効にする」は好み次第かもしれませんが、慣性のきいた画面スクロールになってしまいます。余計な画面スクロールが発生するので作業効率の面ではOFFの方がいいです。
変形ツールを使用するときに基準点を表示
「変形ツールを使用するときに基準点を表示」はONの方がいいです。基準点を中心に拡大したりするとき、どこを中心にするかがわかりやすくなります。
バネ式ツールショートカット
例えばブラシツール使用時にSキーを長押しすると、押している間だけコピースタンプツールに切り替わります。このようなショートカットの使い方の切り替わり速度を設定します。
ヒストリーおよびコンテンツ認証…
「ヒストリーログ」はONにして、「テキストファイル」を選ぶとファイルの開く・保存などの時間ログを指定した場所にテキストファイルで記録してくれます。
作業時間の記録が必要な場合はヒストリーログをONにしておくと便利です。ただ私の環境(Windows10)ではログファイルの日本語ファイル名は文字化けしてしまいます。
ファイル管理
初期設定のファイルの場所
初期の設定ではファイルの保存場所が「Creative Cloud」になっています。以前とは違い自分のPCのハードディスクや会社のサーバーにデータを保存したいときに一々「コンピューター」をクリックしなければいけなくなりました。
これを防ぐには「初期設定のファイルの場所」を「コンピューター上」に設定するとこの画面を飛ばしてファイルの保存場所選択画面に移ることができます。
従来の「別名で保存」を有効にする
Photoshop2021バージョン22.4(2021年5月)以降の仕様変更により、誤った操作を防ぐために以前までできていたレイヤー状態のファイルを「別名で保存」するときの jpeg png pdf などへの書き出しが、できなくなっています。
参考:Photoshopでjpg png pdfの保存ができないときの解決方法
これを以前の仕様に戻すためには従来の「別名で保存」を有効にするをオンにしてください。
コピーの保存時にファイル名に「コピー」を追加しない
「コピーの保存時にファイル名に「コピー」を追加しない」は作業ファイルの保存時ファイル名に「~のコピー」をつけたくない場合はチェックしてください。
パフォーマンス
メモリの使用状況
「パフォーマンス」の「メモリの使用状況」ですが、Photoshop使用時に他のアプリケーションを使わない場合は85%程度まで上げましょう。他に同時使用するのがブラウザぐらいのメモリ消費が少ないアプリケーションなら85%ぐらいでOKです。別のアプリケーションも常時併用する場合は、状況に応じて減らします。
「ヒストリー数」は作業の取り消しができる回数です。なるべく上げたいところではありますが、上げすぎるとメモリ使用量が上がり動作が重くなります。自分の環境で上げ下げしてみて調節してください。多くの場合30~50ぐらいが適正かなと思います。
ヒストリーの詳細についてはPhotoshopのヒストリー解説で説明しています。
仮想記憶ディスク
「仮想記憶ディスク」ですが起動ディスクの空き容量が少ない場合は、ディスク容量を圧迫するのでシステムが不安定になります。
起動ディスク以外に別のSSDが用意できる場合は起動ディスク(システムが入っているディスク)のチェックをOFFにして、別のSSDのチェックをONにします。
起動ディスクの空き容量がそれなりに多い場合(100~200GB以上)は起動ディスクを割り当てても問題ありません。
ピクセル数の大きいサイズのファイルだと一時ファイルの容量が数百GBにまで膨らみます。
仮想記憶ディスク枠内に1~5の数字がありますが、1から順に優先して「有効」にチェックが入っているディスクが使用されます。
できれば1に読み書きが高速なNVMe SSDを指定できるとベストです。
PCスペックと仮想記憶ディスクについてはPhotoshopに最適なPCスペックの記事で紹介しています。
カーソル
ペイントカーソル
カーソルは好みのわかれるところです。「ブラシ先端」にしておくとブラシツール使用時にブラシサイズがわかりやすくなるのでおすすめです。
その他のカーソル
「その他のカーソル」は「精細」がよいと思います。「精細」にしているとスポイトツールなどの中心点が見やすいので、色を拾うときに正確に位置を狙えます。「精細」のデメリットは”アイコンの見た目がかわいくない”くらいなので、精細のほうが良いかと思います。(かわいさ重視の「標準」でも特に問題ないです。)
単位・定規
単位・定規
「単位・定規」のところは文字をpixelにしましょうと書いているネットの記事が多いですが、お仕事の分野によると思います。ウェブ制作向けではpixelに変更、印刷・DTP系ではpointのままの方がいいと思います。
文字を打ち込むときにどちらの単位で見たいかということなので、状況に応じて変えてもらえればいいと思います。
テクノロジープレビュー
ネイティブカンバスを無効にする
テクノロジープレビューの「ネイティブカンバスを無効にする」ですが通常はOFFになっています。
画面の表示に問題があるときこのチェックボックスをONにして、Photoshopを一度終了してもう一度起動すると直ることがあります。
また、Photoshop2022以降ではネイティブカンバス機能をOFFにすることで、動作が少し軽くなることがあります。
また、Photoshopの3D機能に不具合がある場合は「ネイティブカンバスを無効にする」をONにしてみてください。
Photoshopの従来の3D機能は段階的に廃止されることになっていますが、ネイティブカンバスを無効にすることでまだ残存している3D機能を使うことができます。
以上が各項目の設定箇所になります。
Photoshopの環境設定の保存とリセット
環境設定をリセットするにはPhotoshop起動時に次のキーを押します。
- Windowsの場合
Photoshopを起動後すぐにCtrl+Alt+Shiftを押します。 - Macの場合
Photoshopを起動後すぐにCommand+Option+Shiftを押します。
詳しくは環境設定のリセットとバックアップの記事もご参考ください。Photoshopの原因不明のエラーのときは環境設定のリセットでなおることがあります。
まとめ
Photoshopのおすすめ環境設定について要点を絞って紹介しました。
特にメモリ割り当てと仮想記憶ディスクの設定はPhotoshopの動作速度への影響が大きいです。PCのスペックとこれらの設定次第でPhotoshopの動作速度や利便性が大幅に変わってきます。
PhotoshopのPCスペックの記事では、この記事の内容もふまえたおすすめのPCスペックを解説しています。
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