これまでのレタッチにおけるPhotoshop
今回はレタッチにおけるPhotoshopとPhotoshopの歴史を紹介していこうと思います。

現在のフォトレタッチの世界で主流なのはプロユース・アマチュアユース問わず、Adobe Photoshopです。
今までの「画像編集」分野の流れはWikipediaにも書かれていますが、Photoshop以前のデジタルフォトレタッチは専用のワークステーションで行われていました。
1980年代には、Quantelのコンピュータとその上で動作するPaintboxやScitexという専用ワークステーションが登場し、デジタル写真編集が可能となった。1980年代後半にはシリコングラフィックスのワークステーション上で動作する Barco Creator が登場し、その後各社が画像編集ソフトウェアを発売した。2000年代以降はアドビ社のAdobe Photoshopが市場をほぼ独占し、事実上の標準(デファクト・スタンダード)となっている。
「写真編集」2021年10月3日 (日) 02:33 UTC、『ウィキペディア日本語版』より
また、Wikipediaには書かれていませんでしたが、日本でも島精機製作所の「ハイパーペイント2」などのグラフィックワークステーションが存在していました。
Photoshopのバージョンアップの歴史
Photoshopの主要機能であるトーンカーブはバージョン1.0から搭載されており、その後のアップデートではおもに以下の機能が追加されています。
- Photoshop バージョン3.0 レイヤー
- Photoshop バージョン4.0 調整レイヤー、アクション
- Photoshop バージョン5.0 ヒストリー
- Photoshop バージョン6.0 ゆがみ、レイヤーグループ
- Photoshop バージョン7.0 修復ブラシ
- Photoshop CS2(バージョン9.0) スマートオブジェクト、ワープ
- Photoshop CS3(バージョン10.0) スマートフィルター、モーショングラフィックのサポート
- Photoshop CS4(バージョン11.0) 3D機能の導入
- Photoshop CS5(バージョン12.0) パペットワープ、コンテンツに応じた塗りつぶし
- Photoshop CC2021(バージョン22.0) ニューラルフィルター
VERSION MUSEUMではPhotoshopのバージョンごとの操作画面を見ることができます。
Photoshopはバージョン4.0~6.0あたりで、前述の画像処理専用ワークステーションの機能をひととおりカバーするようになりました。
その後の大きいアップデートはスマートオブジェクトになると思います。スマートオブジェクトの搭載で非破壊編集機能が加わり、Photoshopの作業ワークフローが大きく変わりました。
家庭用のPCでも使用可能なこと、ワークステーションに比べて安価なことから、Photoshopは画像処理アプリケーションとして標準的なワークフローとして世界中で使用されることになりました。
レタッチ作業における類似ソフトの価値
Photoshopの機能紹介の記事にも書きましたが、画像編集アプリケーションには他にPhotoshop Elements(19,580円)、AffinityPhoto(7,000円)やGIMP(無料)やKrita(無料)といった無料・低価格アプリケーションがあります。

TwitterなどのSNSでは無料ソフトで十分だという意見もちらほらありますが、Photoshopの位置を脅かすほどの機能の豊富さ、プロユースでの安定性・サポート体制などの総合力は実現できていないと私は思います。
部分的にPhotoshopには搭載されていない機能や、Photoshopに近いぐらいの機能を持っていたりするものもあります。もしPhotoshoの機能を部分的にしか使っていない場合は、乗り換えを検討するのもいいかもしれません。
Affinity Photoについてはその中でも有力なアプリケーションと言われています。
安価でPhotoshopに次ぐぐらいの機能があり、Photoshop Elementsよりも高機能です。
Photoshopの進化とレタッチ
Photoshopの機能向上はレタッチャーの仕事にも変化を及ぼしています。
例えば色変更、不要物消去など単純なレタッチ作業はだれでも行えるようになりました。
これらの単純作業は専門のフォトレタッチャーに依頼される以前の段階で、フォトグラファーやデザイナーレベルで行われることも多くなりました。
技術レベルの低いレタッチャーは淘汰され、レタッチャーが行う作業はより高度なレベルが求められるようになってきています。
今後のPhotoshopとレタッチの関係
おそらく当分の間、フォトレタッチにおいて”Photoshop以外”のアプリケーションがスタンダードとなる日は来ないと思われます。それだけPhotoshopの技術力は他の画像アプリケーションに差をつけています。
また、最近のPhotoshopは今まで力を入れることのなかった分野にも力を入れ始めています。
- GPU(グラフィックカード)の機能を使った表示の高速化
- Adobe Senseiと呼ばれているAI機能の取り込み(ニューラルフィルターなど)
- Substanceの3DCG機能の取り込み
これら3つを軸に、新機能を充実させていくのではないかと予想されます。
特に人物修正や画像のイラスト加工、画像の自動生成の分野は、ディープラーニングなどのAI技術との相性が良いため、ニューラルフィルターは今後さらに伸びていく技術だと思われます。

レタッチ関係の情報についてはこちらのページにまとめています。ぜひご覧ください。

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