Photoshopで画像を扱うときに、多くの場合「人物写真の切り抜き」は避けて通れない作業です。
人物の切り抜きは主に人物と背景の合成をするときに必要になります。
この記事では、どのようにすればPhotoshopで人物写真を綺麗に切り抜けるかをご紹介します。
人物の”髪の毛の切り抜き”は慎重に
広告などの画像制作では「髪の毛の切り抜き」が大まかだと合成感が強く出てしまいます。
見る人に「高品質な画像」という印象を与えるためには、髪の毛の切り抜きにも高い精度が求められます。
「細かい髪のディテールをどのくらい自然に切り抜くか」というところが一つの大きなポイントになります。
Photoshopで人物の髪の毛の切り抜きをする方法
Photoshopで髪の毛の切り抜きをする方法はいくつもあるのですが、作業スピードが速くて高精度にできる方法を紹介します。
「オブジェクト選択ツール」または「被写体を選択」で人物の輪郭の大まかな形を選択しておいて、「選択とマスク」で整え、「ブラシツール」で仕上げをする方法です。
また実際にこのやり方で綺麗に切り抜きするためには、境界のフリンジ処理も重要になります。フリンジ処理についても具体的に紹介します。
こちらの人物画像を使って、切り抜きの手順を紹介していきます。
画像サイズはオリジナルの4000×5000pixelをダウンロードして使っています。
Photoshopの「被写体を選択」で切り抜きを自動化
メニューバーの「選択範囲」メニューから「被写体を選択」を選びます。
この画像は被写体の輪郭がはっきりしているため、「被写体を選択」を選ぶだけで大まかな切り抜きは自動でやってくれます。
このままだと選択範囲はざっくりしたものになっています。
メニューバーの「選択範囲」メニューの「選択とマスク」を選んで、できたマスクを調整します。
Photoshopが「選択とマスク」の画面に切り替わります。
現状のマスクを確認します。「表示」から「オーバーレイ」を選びます。
髪の毛の隙間がところどころ抜けおらず、肩などの輪郭もエッジがシャープです。
上部の「髪の毛を調整」ボタンをクリックします。これにより髪の毛の切り抜きが高精細になります。
エッジの検出を10pixel程度に上げます。髪以外の輪郭が柔らかくなり、写真のぼけた輪郭を検出してくれます。
それでは再度マスクを確認します。今度は「表示」から「白黒」を選びます。
髪の隙間もきれいに抜けました。結果を確認して、下部の「OK」をクリックして「選択とマスク」を確定します。
レイヤーパネルでレイヤーマスクを追加アイコンをクリックして、現在の選択範囲でレイヤーマスクを作成します。
背景は透明を表すチェッカー模様になり、選択範囲の代わりにレイヤーマスクが作られます。
Photoshopのべた塗りレイヤーで背景を作成
ここでは背景をべた塗りで作ります。レイヤーパネルの新規調整レイヤーアイコンから「べた塗り…」を選びます。
カラーピッカーでRGB(55,160,100)で色指定をして「OK」をクリックします。
できたべた塗りレイヤーは、レイヤーパネル上で人物レイヤーの下に移動させます。
Photoshopのブラシツールでレイヤーマスクを編集
レイヤーパネルで「べた塗りレイヤー」のレイヤーマスクをAlt(Option)を押しながらクリックして、画像表示とレイヤーマスク表示を切り替えて、不自然に抜けている部分を探します。
もう一度Alt(Option)を押しながらレイヤーマスクをクリックすると通常表示に戻ります。
不自然に抜けている部分はレイヤーマスク表示にした状態で、ブラシツールでレイヤーマスクに直接描きこんで編集します。
ここでは肩と首の間の輪郭に抜けている部分があったので修正します。
ブラシツールでレイヤーマスクの修正をする時は、以下のショートカットを覚えると楽です。
ここまでの処理でいったん切り抜きとしては合格ラインです。
しかし、背景色によっては輪郭部分が白く浮いてしまったり、黒く浮いてしまったりすることがあります。
これは人物の元画像の輪郭部分と、合成後の背景の色の相性が合わないときに起こります。次の項で修正方法を説明します。
Photoshopで輪郭のフリンジ処理をする方法
単純な切り抜きはできたのですが、人物の輪郭が背景の緑と合っておらず、白っぽくなっています。
今回のように”撮影された背景の色相や明度が合成された背景とかけ離れているとき”は輪郭に色が残っていて背景とマッチしない場合が多いです。これを補正していきます。
やり方は単純で、「ブラシツール」か「コピースタンプツール」で少し内側の色で輪郭付近を塗ってやるだけです。
レイヤーパネルで、人物レイヤーの上に新規レイヤーを作ります。
次にレイヤーパネルで人物レイヤーと新たに作ったレイヤーの境目をAlt(Option)を押しながらクリックしてレイヤーをクリッピングします。
新たにできたレイヤーに「ブラシツール」か「コピースタンプツール」で人物の輪郭を調整していきます。
ブラシツールでやる場合もコピースタンプツールでやる場合も、Alt(Option)を押しながらクリックして、内側の色をまめに採取しながら塗るようにするとうまくできます。
この作業で、輪郭の不自然なところを一周できると完成になります。
ブラシツールでフリンジ処理をしたレイヤーは、元の写真に比べて粒子感が弱まることが多いです。ノイズフィルターなどで周囲と合わせてあげるとよくなじみます。
Photoshop「選択とマスク」の「不要なカラーを除去」について
実は上記手順の「選択とマスク」のところで、「不要なカラーを除去」というオプションがあります。
このオプションをオンにすれば、「選択とマスク」の時点でフリンジをとることができます。
ただ、「不要なカラーを除去」は輪郭をおおざっぱにべた塗りしてしまいますし、レイヤーも改変してしまうため、高精細な修正には向きません。
今回はこのやり方ではしませんでしたが、「不要なカラーを除去」オプションも使いどころを選んで使う分には便利なオプションだと思います。
Photoshopで切り抜きするのが難しいもの
金髪の人物が白っぽい背景で写っているもの、黒髪の人物が黒背景で写っているものなどは、そもそもどのアプリケーションを使っても輪郭の切り抜きが難しいです。
これらの場合はブラシツールで地道に描いていく、別の写真の輪郭を合成して輪郭として使う、など小技が必要になります。
まとめ
今回は色々なツールを組み合わせて、Photoshopで人物を綺麗に切り抜くにはどのようにすればよいかを紹介しました。
場合によっては「チャンネルを使った切り抜き」の方が「被写体を選択」よりも、手間はかかりますがよい結果になることが多いです。チャンネルを使った切り抜きの記事も参考にしてください。
Photoshopのその他のテクニックについてはこちらにまとめています。ぜひご覧ください。
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