Photoshopのベータ版v24.6にAI画像生成機能が追加
Adobeは2023年5月23日に「Firefly」をPhotoshopのベータ版(バージョン24.6)に追加しました。
FireflyとはAdobeが開発した画像生成AIで、入力した言葉の意味を理解して、その意味の画像を作り出す機能です。

Adobe Creative Cloudコンプリートプランやフォトプラン、Photoshop単体プランなど、Photoshopをサブスクリプション契約しているユーザーは全ての人がベータ版をダウンロードして使用することができます。
これからPhotoshopを契約する方はPhotoshopを最安で契約する方法の記事もご参考ください。
Photoshopのベータ版をダウンロードするには
Windowsはタスクバーのシステムトレイから、MacはメニューバーからAdobe Creative Cloudのアプリケーションを起動します。
Adobe Creative Cloudの左の「ベータ版」をクリックするとインストールできるベータ版アプリが表示されます。

「デスクトップアプリ」のPhotoshop(Beta)をインストールします。

また、過去にPhotoshop(Beta)をインストールしている場合は、Photoshop(Beta)を最新版にアップデートします。

これでPhotoshopベータ版の最新バージョンを使うことができるようになります。
Photoshopに統合されたFireflyを使用するには?
PhotoshopでFireflyを使うには、「ジェネレーティブ塗りつぶし」(英語版ではGenerative Fill)という機能を使用します。
これは選択範囲を指定して、「ジェネレーティブ塗りつぶし」を適用するとPhotoshopがFireflyを利用して選択された範囲の画像を生み出してくれるというものです。
「ジェネレーティブ塗りつぶし」では入力欄に文章や言葉を入力することで、より具体的に生成される画像を指定することができます。
Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしの使い方
Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしでオブジェクトを消してみる
それでは、Photoshopでどのようにジェネレーティブ塗りつぶしを使うのかを紹介します。
今回はUnsplashのこちらの画像を使用します。2334×3500pixelの画像で説明します。

画像をPhotoshopで開いたら、まずは消したい部分を選択します。
ツールパネルでなげなわツールを選びます。

車の周りを少し大きめにドラッグして囲みます。

なげなわツールを使用すると、自動的に操作バーが現れます。これはPhotoshopバージョン24.5からの新機能で、「コンテキストタスクバー」というものです。その時のシチュエーションに応じて、適したツールを表示してくれます。

コンテキストタスクバーの「ジェネレーティブ塗りつぶし」をクリックします。
ジェネレーティブ塗りつぶしの操作バーに変化します。ここでは何も入力しないで「生成」をクリックします。

メーターが表示されて処理が開始されます。筆者の環境では10秒程度で処理が完了しました。

車が消去されて、AIがふさわしいと判断した画像で塗りつぶされます。元画像の大きさは「2334×3500pixel」なのですが、AIの精度が素晴らしくきれいに生成されていると思います。

プロパティパネルには消去のバリエーションが表示されます。異なる3パターンの画像が表示され、クリックするとバリエーションを切り替えられます。これは選んだバリエーションを後から変更することもできます。

プロパティパネルが表示されていない場合は「ウィンドウ」→「プロパティ」から表示させることができます。

以下がAIが提案してくれた3バリエーションです。どれもいい感じで消去してくれています。

最初の3パターンが気に入らない場合、再度「生成」をクリックしてさらにバリエーションを増やすこともできます。

Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしでワードを使った生成
それでは今度は車がなくなった風景に人物を生成してみます。下の画像のように道路の上あたりをなげなわツールでドラッグして囲みます。再度「ジェネレーティブ塗りつぶし」をクリックして生成します。

今度は生成したいものがはっきりしているので「a man」と入力し、「生成」してみます。

人物が生成されました。足元の影も道路に落としてくれています。

Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしで画角を広げる
今度は最初の画像に戻って画像を拡張してみます。画像を広げるためにレイヤーパネルが表示されていない場合は「ウィンドウ」メニューの「レイヤー」で表示します。

レイヤーパネル上で「背景」レイヤーをダブルクリックして、「OK」をクリックしてフローティングレイヤー化します。

「イメージ」メニューから「カンバスサイズ…」を選んで、画角を広げます。

幅を広げて正方形にしつつ、基準位置は左端にして右側を拡張します。

画像表示は以下のようになります。右側のチェック柄の部分は透明です。

レイヤーパネル上でレイヤーをCtrl(Command)を押しながらクリックして、レイヤー画像部分の選択範囲を作成します。

つづけて「選択範囲」メニューから「選択範囲を反転」を選んで、空白部分の選択範囲を作成します。

画像のない部分が選択されています。

コンテキストタスクバーで「ジェネレーティブ塗りつぶし」をクリックします。

ワードは入力しないでそのまま「生成」をクリックします。

空白になっていた右側が生成されました。生成のつなぎ目部分に線のようなものができて、やや失敗しています。

生成前の選択範囲がぎりぎりだとエラーが起こりやすいです。このような場合は生成前に選択範囲を広めに作っておくときれいに生成できます。
空白部分を選択したあと、「選択範囲」メニューから「選択範囲を変更」→「拡張…」で10pixel程度拡張しておきます。

この状態で「ジェネレーティブ塗りつぶし」をするときれいに生成できます。

車のフォルムや色、地面や背景の木などもちゃんと考慮されて生成されているのがわかります。
Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしでできること
これまで見てきたように、ジェネレーティブ塗りつぶしでできることは基本的に「指定範囲を埋める」と、「指定範囲に物体を生成する」の2つです。
具体的には以下のような用途になります。
- オブジェクトを生成
- 背景を生成
- 画像を拡張
- オブジェクトを削除
ジェネレーティブ塗りつぶしについてのよくある質問
Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしがグレーアウトしていて使用できない
ジェネレーティブ塗りつぶしは画像がRGBモードでないと使用できません。
「イメージ」メニューから「モード」→「RGBカラー」を選んで画像をRGBモードにすると使用できるようになります。
Photoshopのジェネレーティブ塗りつぶしは、商用利用できるのか?
AdobeのFireflyは、Adobe Stockの画像の中から許諾されたもののみで学習されています。これにより商用利用可能な画像生成モデルとして大きく期待されています。
しかしPhotoshop”ベータ版”においては試験的な搭載のため、商用利用は許可されていません。
正式版では商用利用も許可される見込みです。
近々リリース予定のPhotoshopバージョン24.6の正式版のリリースまで待ちましょう。
まとめ
Photoshopに新しく追加される「ジェネレーティブ塗りつぶし」を紹介しました。
「画像サイズ」の面でも「生成精度」の面でも、かなり使えるツールに仕上げてきている印象でした。
Stable Diffusionなどの画像生成AIは専用の環境が必要なこともあり、PC初心者にはしきいの高いものでした。
ユーザーの多いPhotoshopの標準環境で利用できるようになったことで、画像生成AIが一般のユーザーにもさらに利用しやすいものになっていくと思われます。
すでに多くの人が言われていることですが、デザイナーやイラストレーターにとってもAIは無視できない技術になってきています。
作業効率化のために取り入れていくことも、求められてくるのではないでしょうか。
Photoshopの最新情報はこちらにまとめています。ぜひご覧ください。

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