Photoshopを使っていると「プロファイル」や「カラープロファイル」という言葉がよく出てきます。Photoshop初心者の方にとっては、なじみのない言葉かもしれません。
画像ファイルを開いて、いきなり「RGBプロファイルが埋め込まれていません」とか「埋め込まれたプロファイルの不一致」と表示されても何を選んだらよいかわからない方も多いと思います。
筆者もPhotoshopで仕事をする前はその一人でした。
この記事では、初心者の方向けにカラープロファイルとは何か、どのカラープロファイルを選べばよいかについて解説します。
カラープロファイルとは
すごく簡単に言うと、カラープロファイルというのは、モニターに表示される色とプリンターで印刷する色を一致させるために作られました。
Photoshopで見ていた色と最終的に印刷される色が違ってしまうと、Photoshopで微妙な色調整をしても意味がなくなってしまいます。
また仕事相手と別々のモニターを見ながら色の指定をしても、双方が見ている色が違えば意味がありません。
こういう状況を解決するためにカラープロファイル(色の記録ファイル)やカラーマネジメント(色の管理)が存在しています。
カラープロファイルの種類
カラープロファイルには主に次のようなものがあります。
- モニターのカラープロファイル(モニターの色の説明ファイル)
- 画像のカラープロファイル(画像の色の説明ファイル)
- プリンターのカラープロファイル(プリンターの色の説明ファイル)
各カラープロファイルを設定しておくことで、同じ数値の色を同じ見え方にすることができます。
またこれらとは別にPhotoshopのカラー設定というものがあります。「私は通常この画像カラープロファイルで作業するよ」という設定をするものです。
アプリケーション側でカラー設定をしておくことで、そのアプリケーションを使っているときに正確な色が再現できるようになります。
Photoshopのカラー設定をする方法
それではPhotoshopでのカラー設定の仕方を説明します。
「編集」メニュー→「カラー設定…」からPhotoshopのカラープロファイル環境を設定をすることができます。
よく使う画像のカラープロファイルを設定しておくことで、違うカラープロファイルの画像を開いたときに警告が表示されるので便利です。
設定 | 想定される環境 |
---|---|
Web・インターネット用 – 日本 | Webデザインなどモニターでのみ使用する組み合わせです |
一般用 – 日本2 | Photoshopの初期設定ではこの設定になっています 広く普及している組み合わせです |
プリプレス用 – 日本2 | デザイナー・イラストレーター・レタッチャー・フォトグラファーなど作った画像を印刷に使用する場合はこちらを使います |
Photoshopのカラープロファイルの警告メッセージ
初心者の方が戸惑いがちな、「Photoshopの2種類のカラープロファイル警告」について説明します。
どちらも「画像のカラープロファイル」をどのように扱うのか選んでくださいという意味のメッセージです。
HINTとしてよくわからないときに選ぶものを挙げておきましたが、色についてシビアなお仕事では画像の供給元に確認するのが一番安全です。
Photoshopの「埋め込まれたプロファイルの不一致」とは
Photoshopのアプリケーション側のカラープロファイル設定と、開いた画像ファイルのカラープロファイル設定が一致していないときに表示されます。
カラープロファイルが互いに違うので、どちらを優先使用するかという意味です。
選択オプション | 選び方 |
---|---|
作業用スペースの代わりに埋め込みプロファイルを使用 | Photoshopのカラー設定を無視して、開いた画像ファイルのカラープロファイルを使用します(色の数値は維持されます) |
ドキュメントのカラーを作業スペースに変換 | 開いた画像ファイルのカラープロファイルと同じような見ためになるように、Photoshopで設定しているカラー設定に変換します(色の数値が変換されます) |
埋め込まれたプロファイルを破棄(カラーマネジメントをしない) | 開いた画像ファイルのカラープロファイルを削除して、Photoshopのカラー設定を使用します(色の数値は維持されます) |
どれを選べばいいかよくわからないときは「作業用スペースの代わりに埋め込みプロファイルを使用」が無難です。
Photoshopの「プロファイルなし」・「RGB(またはCMYK)プロファイルが埋め込まれていません」とは
開いた画像にカラープロファイルが保存されていないときに表示されます。
どのカラープロファイルとして色を表示すればいいのか?という意味です。
選択オプション | 選び方 |
---|---|
そのままにする(カラーマネジメントなし) | Photoshopのカラー設定を使用して画像を表示します(色の数値は維持されます) |
作業用RGB(またはCMYK)を指定:○○ | 画像のカラープロファイルを新たに指定したあと、Photoshopのカラー設定を使用して画像を表示します(色の数値は維持されます) |
プロファイルの指定:○○ | 画像のカラープロファイルを新たに指定して画像を表示します(色の数値は維持されます) |
プロファイルの指定:○○ (次にファイルを作業用のRGB((またはCMYK))に変換しますON) | 画像のカラープロファイルを新たに指定したあと、Photoshopのカラー設定を使用して同じ見ためになるように変換します(色の数値は変換されます) |
どれを選べばいいかよくわからないときは「作業用RGBを指定:業界別に標準的なものを選ぶ」のが無難です。
RGB : sRGB IEC61966-2.1(Web用)かAdobeRGB(1998)(印刷用)
CMYK : Japan Color 2001 Coated
Photoshopでの業界別おすすめのカラープロファイルは?
業界別に2022年現在よく使われているカラープロファイルをまとめました。
業界 | 主要なカラープロファイル |
---|---|
グラフィックデザイン・イラスト・印刷(日本国内) | RGBデータは AdobeRGB(1998) CMYKデータは Japan Color 2001 Coated |
Webデザイン | sRGB IEC61966-2.1 |
3DCG | sRGB IEC61966-2.1 |
映像 | sRGB IEC61966-2.1, Rec.709など |
Photoshopで画像のカラープロファイルを確認する方法
画像ウィンドウの下部「>」から「ドキュメントのプロファイル」を選ぶと、現在開いている画像ファイルのカラープロファイルが表示されます。
Photoshopで画像にカラープロファイルの指定をするには
画像ファイルを開いたときにプロファイルを指定するか、もしくは画像を既に開いている場合は「編集」メニュー→「カラープロファイルの指定…」から画像プロファイルの指定ができます。
Photoshopでのカラープロファイル変換
「編集」メニュー→「プロファイル変換…」からソースカラースペースと変換後のカラースペースを指定することで、カラープロファイルを変換することができます。
画像のカラーの数値が変換されるので、元画像を生かしておきたい場合は複製して別ファイルで行った方がよいです。
変換オプションは初期設定のものでも問題ないですが、色によってはマッチング方法を「知覚的」→「相対的」で変えた方がきれいに変換できます。
どちらを選ぶかは「プレビュー」チェックボックスをONにして、変換後の色のどちらが自然な色になるかで判断することができます。
PhotoshopでCMYKデータにカラープロファイル変換するとき
Photoshopのカラープロファイル変換を使うことで、RGBデータをCMYKデータに変換することができます。
ただし印刷用にCMYK変換する場合、印刷機の特性などを考慮する必要があります。そのためRGBデータからCMYKデータの変換は実際に印刷を行う会社で行うのがセオリーです。
画像制作デザイナー・イラストレーター・レタッチャー・フォトグラファーの立場でCMYK変換を行うのはリスクが大きいため、なるべく避けましょう。
Photoshopの基本的な使い方はこちらにまとめています。初心者の方にもわかりやすいようにまとめていますのでぜひご覧ください。
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