Photoshopを使っていると、こんな状態になることはないでしょうか。
- Photoshopを使っているとだんだん動作が遅くなってきた。
- 新しいPCを買ったのにインストールしたPhotoshopの動作が遅い。
原因不明でPhotoshopの動作が重い症状は筆者も何度も経験してきました。そんなときに確認する10の原因と対策改善方法を徹底解説します。
この記事で紹介している手法を知っているのと知らないのとでは、Photoshopの動作スピードが格段に変わってきます。
Photoshopの環境設定やスペックの記事にも書きましたが、結論を先に書くとパフォーマンスに大きく影響するのはメモリと仮想記憶ディスクです。
それでは以下で10の原因の詳細を解説します。
1. メモリ割り当てが少なすぎないか確認する
Photoshopの割り当てメモリは「環境設定」の「パフォーマンス」から設定できます。
Windows:「編集」メニュー→「環境設定」→「パフォーマンス」
Mac:「Photoshop」メニュー→「環境設定」→「パフォーマンス」
他のアプリケーションを同時に使っていない場合は、85%程度まで上げても大丈夫です。100%は他のアプリケーションが使用する余地がなくなるため、避けた方が無難です。
メモリ割り当ての容量が大きいほどPhotoshopは高速化します。
メモリ使用量の目安は以下のとおりです。
上記はあくまでPhotoshopのみに割り当てるメモリ量です。
実際はOSなどPhotoshop以外のアプリケーションも同時に動かすことになるため、PCのスペックは上記のメモリ容量より大きいほうがよいです。
最低でも16GB以上搭載したPCを使うのがおすすめです。
2. 仮想記憶ディスクが適正に割り当てられているか
仮想記憶ディスクの割り当ても、メモリと同じくパフォーマンスに大きく影響します。
仮想記憶ディスクは起動ディスクではない別のディスク、できればハイスピードなSSDを別途用意することをおすすめします。詳しくはPhotoshopの環境設定の記事と推奨スペックの記事をご覧ください。
Windows:「編集」メニュー→「環境設定」→「仮想記憶ディスク」
Mac:「Photoshop」メニュー→「環境設定」→「仮想記憶ディスク」
起動ディスクがの空き容量が100GBを切っている場合など、残りの容量が少ない場合は起動ディスクを仮想記憶ディスクから外しておくのが無難です。

逆に起動ディスクに十分余裕がある場合は、仮想記憶ディスクに割り当てておいても大きな問題はないです。
3. ファイルサイズとブラシサイズが不必要に大きくないかを見直す
画像解像度の設定を確認して、ピクセル数が多すぎないか確認します。メモリ使用量の項に書いたピクセル数がここでも目安になります。
解像度や画像サイズも間接的には関係しますが、Photoshopの動作に根本的に影響するのは「総ピクセル数」です。
意図的な場合を除き、長辺が10000ピクセル以上あるものはピクセル数が大きいため、動作が重くなると認識した方がいいです。
またピクセル数の大きな画像に対して、大きなサイズのブラシを使っているとブラシの動作も遅くなります。
いま開いている画像のピクセル数は「イメージ」メニュー→「画像解像度」から確認できます。
画像解像度の単位を「pixel」(ピクセル)にして確認します。
もし不必要に大きい場合は、幅と高さに適度な数値を入れて適用します。再サンプルのチェックボックスはONにしてから行ってください。
「画像解像度」の詳細については以下の記事に書いています。
4. 開いている書類の数を見直す
Photoshopで開いている画像が多いとその分使用メモリを圧迫します。開いておく必要のない画像は一旦保存して閉じておくとメモリ消費量を抑えられます。
いまPhotoshopが開いている画像は「ウインドウ」メニューの一番下で確認できます。表示しきれない場合は下に表示される▼をクリックして表示します。
5. ヒストリーの数は多すぎないか
「ヒストリー数」も上記の環境設定で設定します。作業履歴を記憶する分、数を多くするほどメモリ使用量が増えます。
30~50ぐらいの範囲で調節するのが適正かと思います。
6. クリップボードの転送の無効化は設定しているか
環境設定の「一般」にある「クリップボードへ転送」もパフォーマンスに影響します。
アプリケーションを切り替えるときにクリップボードを使ったメモリの移動が行われるため、他のアプリケーションとの切り替えが遅くなります。
他のアプリケーションへの画像のペースト(貼り付け)をしない場合は「オフ」で問題ありません。

7. メモリをクリアしてみる
Photoshopを終了させることなく作業を長く行っている場合は、Photoshopが使うメモリ内に過去の作業のデータが記憶されたままになっている場合があります。
「編集」メニューから「メモリをクリア」を行うことで、メモリに記憶しているデータを消去することができメモリの無駄を省くことができます。

8. レイヤー数が多すぎないか
使っているレイヤーの数が多いとその分メモリを消費します。
べた塗りや調整レイヤーなどのレイヤーより、ディテールの多い実画像のレイヤーは比較的多くのメモリを使います。レイヤーマスクを使っている場合も白黒画像としてのメモリを消費します。
「レイヤー」メニュー→「下のレイヤーと結合」・「表示レイヤーの結合」・「画像を統合」などを使ってレイヤー数を減らします。
あえて多く使う場合もあるため、レイヤー数に適正な数というのはありません。多いほど重くなるということだけ覚えておけばOKです。

9. 8ビット/チャンネルで作業しているか
「16ビット/チャンネル」・「32ビット/チャンネル」での作業は動作が重くなります。特に必要な場合を除いては動作の軽い8ビット/チャンネルでの作業をおすすめします。
「イメージ」メニュー→「モード」→「8bit/チャンネル」を選択で8bit/チャンネルでの作業になります。

10. 環境設定の初期化をしてみる
原因不明の動作不良の場合、環境設定の初期化でなおることがあります。詳しくは環境設定のリセットの記事を見てください。
以上がPhotoshopが重いときに見直す10のポイントです。
ほかに心当たりがないときに確認すること
グラフィック表示の動作が重い問題
Photoshop2022(バージョン23.0)以降で画像描画エンジンが大幅に変わり、以前より画像表示がグラフィックプロセッサー(GPU)に依存するようになりました。
このため、Photoshop2022以降で画像表示がもたつく要因になっています。
もしPhotoshop2022以降にアップデートした後、画面の表示が遅いなと思った時は、以下の設定を変更してみることをおすすめします。
メニューから「環境設定」→「テクノロジープレビュー」を選びます。
Windows:「編集」メニュー→「環境設定」→「テクノロジープレビュー」
Mac:「Photoshop」メニュー→「環境設定」→「テクノロジープレビュー」

「ネイティブカンバスを無効にする」にチェックを入れます。
この設定により、Photoshop2022以降の描画エンジンを以前のバージョンのものに戻すことができます。
ネイティブカンバス自体は最新の設計に基づいた技術ですので、試してみて動作が変わらない場合は逆に設定を戻す(ネイティブカンバスを無効にしない)ことをおすすめします。
Photoshop2022以降でのネイティブカンバスは動作速度にかなり影響が出ます。こちらのチェックもおすすめします。
効果はあまり期待できないが
下にあげたものはそれほど効果として出にくいですが、一般的に動作が重いときに推奨されている設定箇所です。
- レイヤーパネルのレイヤーサムネイルの大きさを小さく
- 環境設定でキャッシュレベルの設定
- グラフィックカードのドライバの更新
- インストールしているフォントの数を減らす
私は仕事で上記の設定を何度も変えて試していますが、劇的にパフォーマンスが変わったことはありませんでした。もう他に試すものがないときに見てみてください。
不具合・バグの可能性
Photoshopの不具合やバグによって動作が遅くなっていることがあります。以下の情報を参考に調べてみることをおすすめします。
Photoshopの日本語フォーラムや、既知の問題点のページに不具合情報が載っていることがあります。
Adobe公式サイト:Photoshop日本語フォーラム
Adobe公式サイト:Photoshopの既知の問題点のページ
また、Adobe公式サイトにはPhotoshopのパフォーマンスについての解説があります。
Adobe公式サイト:Photoshopのパフォーマンスの最適化
まとめ
また、Adobeが公式に発表している以外にも、明らかな不具合がある場合があります。
私が把握している範囲ではPhotoshop2020以降、容量の大きいファイルでトーンカーブなどの調整レイヤーの表示パフォーマンスが大きく低下しています。この問題はWindows/Mac両方で確認されています。
このような事象の場合、PCを新しくしてハードウェアのスペックを上げるか、Photoshopのアップデートで修正されるのを待つ以外ないこともあります。
PhotoshopはPCスペック次第でも動作スピードが大きく変わってきます。Photoshopを快適に使うための推奨スペックの記事で重要ポイントをまとめています。
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