コマーシャルフォト2021年7月号でレタッチ会社フォートンさんの人物レタッチの特集が組まれていました。
今回の特集は本誌148ページ中の60ページを越える大特集になっており、レタッチだけでのこれほど大きな特集は私は過去2~3回ぐらいしか見たことがありません。
フォートンさんはレタッチ業界では老舗的な位置付けの会社で、私は過去にApple Storeで開かれたセミナーを聞きに行ったり、出版された本を読んだこともあります。同業の方がどのようにお仕事をされているのか、などにも興味があり本書を購入してみました。
技術的に自分が経験してきたことと比べて
やはりフォートンさんには長い歴史があり、言ってみればレタッチ業界の先人なわけですから、Photoshopが普及するまえからレタッチをされたりして、いろいろな過程を経験されて今があるんだな、ということを見られる特集でした。
私もレタッチ会社は複数見てきているので、レタッチの技術的なところでは各社似通っているところも多くあるなあという印象でした。どうしても行きつくところは共通してきますね。
制作されているレイヤー構造を何箇所か紹介されているところがあるのですが、ところどころで担当の方によってレイヤーの組み方、調整レイヤーの選び方が違うのは、(これもよくあることなのですが)Photoshopの技術的なところが読み取れておもしろいところでした。
レタッチ業界について思うこと
Photoshopの機能が多彩になってできることが増えたこともあり、限られた人しかできなかった作業のうちの幾つかは誰でもできるようなものになって、レタッチスキル=Photoshopスキル自体の相対化はされていっている面はあるのかなと思いました。
この傾向はPhotoshopのニューラルフィルターに見られるような、ディープラーニングの技術によって加速していくものと思われます。
ある程度の美的感覚というものはいまだに必要ですが、アートディレクターやフォトグラファーの指示をなぞるだけの、肌の修正などは伝統芸のようなものになり、「レタッチ操作するだけのスキル」はレタッチャーとしてはもう既に持っていて当たり前の技術になってきていると思いました。
その先の審美眼だったり、レタッチ以外のことも併せてできるかどうか、が以前にも増して問われてきていると思います。
印象に残ったところ
途中のインタビューで、レタッチが「修正の域プラスアルファ」くらいにしか使われていなくて、もっとクリエイティブに使われるべきだ。ということを仰っていて、とても同意するし、ごもっともなことだと思いました。
これは私たちレタッチャーのアピール不足もあるかもしれないですが、制作していてこうすればもっときれいに仕上げられるのにとか、もっとこんな表現もあるのに、という場面も多くあります。
ただ仕事をしている上で、それを出していい場面と出してはいけない場面があり、そこをもっと求めてくれていいのに、と思うことがあります。
今後自分も発信することでアピールしていければと思いました。
あとフォートンさんは今(2021年8月現在)プロデューサー・レタッチャー・CGアーティストの人を募集中のようなので、興味のある方は詳細をみてみることをお勧めします。
レビューは以上になります。
レタッチ、レタッチャーについてはこちらの記事もご参考ください。



2021年7月号のコマーシャルフォトはAmazonでは売り切れになっているようです。
レタッチ関係の情報についてはこちらのページにまとめています。ぜひご覧ください。

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