今年もAdobe MAX2022に合わせてAdobe Creative Cloud各アプリケーションのメジャーアップデートが行われました。PhotoshopもPhotoshop 2023(バージョン24.0)がリリースされました。
すでにAdobe Creative Cloudアプリケーションでダウンロードできるようになっています。
この記事ではPhotoshop2023でどのような機能が追加されたのか、またレタッチャーとして見た感想、今後追加される予定の機能について解説します。
PhotoshopにSubstanceマテリアルプラグインが追加
Photoshop内でSubstanceのマテリアルを使うことができるようになりました。
「Substance」とは3DCGで使われているテクスチャ作成のアプリケーションです。
あとからテクスチャの目の細かさや材質、光源の方向などを数値で調整できるのが特徴です。
このSubstanceのマテリアルを使って、背景などに使うテクスチャを作成することができます。
Substanceのマテリアルは初期にインストールされているもののほかに、Adobe Substance 3D Assetsのサイトからダウンロードして使うこともできます。
ただしPhotoshopでの従来の3D機能は廃止される方向です。SubstanceマテリアルもPhotoshop上ではあくまで平面的な使用になります。
Substanceのマテリアルは「ウィンドウ」メニュー→「マテリアル」から使うことができます。
新しいニューラルフィルター “写真の復元(ベータ)”
ニューラルフィルターで新たに「写真の復元(ベータ)」が使用できるようになりました。
汚れやしわで劣化したような写真をAIで自動的にきれいにすることができます。
オブジェクト選択ツールの向上
オブジェクト選択ツールで、様々なシーンにあるオブジェクトの検知と選択が向上しています。
AIの向上により、以下のオブジェクトが別々に検知できるようになっているとのことです。
- 川・湖・海などの水辺・建築物・植物
- 山、丘など自然風景
- 道、歩道など、人工物
色々な画像で試しましたが、精度は今一つという感じです。結構わかりやすい空や海でも認識してくれませんでした。 10月25日修正
その後、同じ画像で試してみたところ、選択が大幅によくなっていました。(原因わからず)ピンクの枠がオブジェクトとして認識された範囲です。
新しく導入された環境設定の「画像処理」の項目で「選択範囲の処理」を「安定性を向上」に切り替えると選択精度がさらに上がるということです。
※この項目はWindows版でNvidia製GPUを使用している場合のみ選択可能です。
Nvidia GPU限定Windows版のみなので、使用環境は選びますが大変役立つと思います。
また、オブジェクト選択ツールで作った選択範囲から「選択とマスク」でマスクを編集することで、よりスピーディーな選択が行えるようになっています。
ワンクリックで削除して塗り
物体を削除したときに、同時にコンテンツに応じて塗りつぶしをしてくれる機能です。
削除したいオブジェクトを”オブジェクト選択ツールで選択”し、Shiftを押しながらDeleteキー、またはShiftを押しながらBackSpaceキーを押して削除します。
すると、コンテンツに応じた塗りが作動して、削除したものの背景を自動的に作ってくれます。この機能は単一のレイヤーのファイルでのみ有効です。
この機能を使うには最初にオブジェクト選択ツールで選択する必要があります。
また、複数レイヤーが存在していると作動せず、塗りつぶしのウィンドウが表示されるだけです。
消去の精度もまだまだというところはあります。スピードを求められる場面で使う感じでしょうか。
レビュー用に共有(ベータ)
Adobeアカウントがない人との間でも、共有リンクのメールを送ることでレビューファイルの共有をすることができます。
ファイルはCreative Cloud上に保存され、ウェブブラウザで閲覧・コメントなどが行えます。書類のバージョン履歴なども見られるようになっています。
相手先との合意さえ得られれば、校正に便利なツールになっていると思います。
Photoshop内やWebブラウザ上でコメント欄に書き込んだり、画像に直接書き込むこと(画像の緑の斜線部分)も可能です。
ステータスバーにGPUのステータス表示が可能に
画像下のステータスバーの表示切り替えで、GPUのステータスが表示できるようになりました。
- CPUモード:GPUモードが現在のドキュメントでのPhotoshopで使えないことを示しています。一部のGPUを使用した機能が使用できません。
- D3D12:Windowsでの推奨モードです。
- Software: 環境設定内のテクノロジープレビューで「以前のGPUモード」がオンになっているときに表示されます。
- Metal: Macでの推奨モードです。
- Legacy Open GL: 環境設定内のテクノロジープレビューで「ネイティブカンバスを無効にする」がオンになっているときに表示されます。
- Unknown: GPUが検知されなかった場合に表示されます。
Photoshop 2023(ver.24.0)のその他の機能向上
Photoshop2023には上記6つの新機能のほかにも、次のような機能向上があります。
- ワープレンダリング(テクノロジープレビュー)のサポート(Windowsのみ)
- ニューラルフィルターでGPUを使用する、しないの選択(待機リスト横の…メニューで切り替え)
- Cloud Document バージョン履歴のユーザーインターフェイス向上
- コンテンツ認証情報:ファイル名を右クリックしてドキュメントごとの設定(デフォルトでオフ、環境設定でオンに切り替え可能)
- Noto Color Emojiフォント搭載、Emoji One Colorフォントを削除(Emoji One Colorフォントのダウンロードは可能)
- タイトルバーのスナップウィンドウのサポート(Windows11のみ)
- CEPの廃止とUXPスクリプティング
このあとのPhotoshopで予定されている注目のアップデート
次に紹介する機能は今後のアップデートで正式に追加される機能です。
今回リリースのPhotoshopパブリックベータ版には搭載されるものなので、興味のある方はCreative Cloudアプリケーションの「ベータ版アプリ」の項目からダウンロードして試すことができるようになります。
ライブぼかし(ガウス)
ライブぼかし(ガウス)は、カンバス上でぼかしフィルターのリアルタイムプレビュー速度が向上しています。
またライブぼかし使用中にオプションパネル、ズーム、描画モードの適応、不透明度、レイヤーの表示・非表示などの作業ができます。
ライブグラデーションツール
ライブグラデーションツールは、グラデーションをかけた後に、グラデーションの幅や色を調整しやすくなる便利機能です。
実際の効果を見ながらグラデーションの幅や色を調整することができるようになるため、グラデーションの使い勝手が向上します。
背景ニューラルフィルター
入力したテキストを用いて背景画像をAIで自動作成します。
いま話題のStable Diffusionと同じような機能です。
Photoshop 2023(ver.24.0)アップデートのまとめ
今回のアップデートはSubstanceマテリアルが大きいところでしょうか。レビュー用に共有もスタイルが合えば実際に仕事で使える機能になっていると思います。
オブジェクト選択ツールの向上も、WindowsユーザーでNvidia製GPUを使用している場合は、大きな機能アップデートになっていると思います。
最後にも書いたように「ライブぼかし」や「ライブグラデーション」は近い将来追加される便利な機能です。Photoshop2023(バージョン24)のバージョン中には正式に追加されるのではないでしょうか。
旧バージョンPhotoshop 2022の新機能については以下をご覧ください。
Photoshopのアップデート時に過去バージョンを削除しない方法をまとめました。こちらも参考にしてください。
Photoshopの最新情報はこちらにまとめています。ぜひご覧ください。
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